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あの子と離れ離れになって、どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。
気が付いたら僕は病院にいた。
上からはオカンが見下ろして、「ああ、よかった。生きてた。」と泣きながら喜んだ。
何がなんだかわからなくて、自分の体を見てみると、あちこちが焼けただれて、溶けた手首が袖に張り付いていた。
でもそんなことはどうでもよくて、僕は思い出したように「なあオカン、Aを見なかったか?」と聞いた。
「Aちゃん、いつまでたっても見つからないの。もう生きてないかもしれない。」と悲しそうに言った。
「そうか。」とだけ言ってなんとなく左を向いた。すると、隣にはいとこのHが真っ赤な塊になって倒れていた。
もはやHなのかもわからない。でも、特徴からかろうじてHとわかった。
早くAに会いたい。
そう思っていたが、そんなことは叶わないまま時間だけが過ぎた。
病院の中は酷い怪我人だらけだったのが、一人また一人と死んでいった。
僕は大したこともできないで、弱っていった。
急に死ぬのが怖くなって、「僕まだ死にたくないよ。」とオカンに向かって言ったが、だんだんと意識が遠ざかっていって、側にいた医者の「この子はもうだめだ。」という言葉を最後に、僕は力尽きた。

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