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靴磨きブルース
コッペパン咥えて
布切れと油持った奴らが
今夜も路地裏に集まり靴磨きブルース
大人たちの唾入り文句を横目に
僕たちゃ路上で靴磨きブルース
ちんどん屋にだって負けない
ここはこぼれた奴らの溜まり場
さああんたも足鳴らして
もう抜け出せないこの人生
顔を靴墨で真っ黒にして
声を張り上げろよ 梅干しみたいになって
今日も変わらず愚痴るように歌ってる。
兄貴がボロボロになって帰ってくるまでは
永遠に靴磨き生活だ
礼すら言えねえクソジジイがいるのか?
だったら社会の檻にぶち込め
苦しかろうが嫌だろうがこの人生は終わらない
わかったならとっとと靴を磨くんだな
エコひいきを依怙贔屓
鼻をかんだら、紙は捨てずに食べましょう。
ですから、動物を殺して食うことはありません。
お腹が減ったら、家族にいる人の年齢が高い方から食べましょう。
お兄さんがいる方は、そちらからもらいましょう。
痛いとかわいそうなので、一口だけ甘噛して血を吸い出したらおしまいです。
鼻水が主食なのでこれもまた鉄のいい味がしますよ。
鼻血と違って渋い味の液体が喉を通り過ぎるとひりひりくすぐってくるので、
甘えん坊な妹とさみしがりやの兄さんは。
そうですね、庭でゴミを燃やしたので2年前に焼け死んでしまいました。
懐かしい音が聞こえてきたと思ったら部屋の隅で100歳の男の子が静かに笑う声でした。
彼らは死ぬ直前、下から火に照らされておでこが黒くなってもみんな口を揃えて「瓶と缶は屋根の上で燃やせ」といったそうだ。
スフの素材は燃えやすい。
みんな着てたから薄くて弱い。
ぼくにはまだ大きくて手が隠れてしまうのだけど。
実は死んだ怪我人から脱がせてぼくが着ているの。
裸足で町中を歩けるように、空き缶を被っていく。
どうだかっこいいでしょ。
もう1週間ここに立ちっぱなし。
自転車が壊れるまで乗り回した。
なんたかかわいそうだったけど、ペダルが突き刺さって体が裂けてしまって泣いているので、大人になれず。
ぼくたちはみんなで手を繋いで、内側に倒れた。
ずっと子供のままでいられて、みんなで遊んでいられる。
夕焼け空に響く声が止んだ。「なあに」と聞こえたので、
「酸素を吸うな。人間なんてみんな電車に轢かれてぐちゃぐちゃになってしまえばいいんだよ、もう死んだ人も、もう一回生き地獄を体験してもらって、もう、痛めつけて痛めつけてそれでも、あぁ、本当に無能だね、下半身どこに行ったかわからないんだね、スカポンタンだねー…って、言ってみせるんだよ。」って人間嫌いが叫んだ。
なにをえらそうに??
丸焦げ少年は夜が寂しくて、色んな人に意地悪しちゃうの。
ある通行人には、噴水の水をかけてびしょ濡れにさせた。
幸せそうにしてる少女のぬいぐるみのおでこに「肉」と書いた。
洗濯前の子供のポケットに、ダンゴムシを入れた。
通行人は、びっくりして腰抜かした。
少年はそれを見てけらけら笑いこけた。
少女は、がりがり擦りながら泣きじゃくった。
少年はちょっとかわいそうだったけどくすっと笑った。
ダンゴムシを入れたせいで怒られた子供をみて、目を逸らした。
その先には月があった。
顔がついている。
あれれ、もしかしたらあれは母さんだね?
もしかして怒ってる?
空き缶を脱いで髪の毛を食べた。
大変だ、遅刻する。やっ、前から来てる!
ダァン!!ビシャビシャッ…ブォーーーン…
もう死んでるから意味ねーよっ!
タイプライター
まだまだタイプライターも打てない、人肌恋しい十三歳。工場にずっといる。
ごはんちょーだいよ、ごはんちょーだい!
って六つの妹二人から言われて、
ないからあげれないの!って怒鳴ったら二人を泣かせちゃって、反省なんかできない僕は我慢しろよー!っていっちばんおっきな声で泣き叫ぶ…ってんだよ昨日あったことだがね。
そのへんのイナゴじゃだめかや。
最期に子守唄を聞いたのは真夏だった。
雨音が街を埋め尽くす頃にはもうみんな死んでいた。吊り革が破れた。
ほら、頭巾かぶってそこで待っててみて。
赤とんぼが迎えに来るよ。
花火をドンパチ鳴らしながら、こっちに迫ってくるんやで。
きれいだね〜
みんなで上向いて透けてると、下駄がすり減る。
たんぽぽの綿毛みたいに、逆さになったみたいに、空に登っていくように見えるんだよ。それはありんこみたいな姿をしていて、遠いところにだってすぐ飛んでいける人間用のふりかけなんだよ。
まるで真冬の真夜中みたいだね!本当に気色悪くて僕はこんなの大嫌いだ!
つまり嫌なことはまだ終わってなくってね、茶箪笥の中から出てきた筆は木の匂いがした。
土の匂いと、雨の匂いと、石のかけらが混ざって懐かしくて気を失った。
これを毎日繰り返すだけ、終わったらすぐさま迎えに行くつもりなんだ。
時間もわからず出かけた子供の爪が剥がれてそれを拾った汚いおっさんが地面の奥底に入れたらたまたま世界の反対側にお裾分けできた。だから、みんな寄ってたかって穴に物を落とすんだね。
そのなかが明るくなったら体を突き抜けてしまう。
いやだったら、現実を瞬きせず、まっすぐ、でも反対側からずっと見ていて。
いいな… 川で溺れた僕たちとは違ってね…
てるてるぼうず下げた。まだやまないね…
上履きがびしょびしょになったら怒られちゃう…
あっ、友達との約束破っちゃった!
探しています
ほらあなぐらしはここで終わっている。
そういえばこないだ始めてタイプライターなぶったんだよ。
僕は精神世界のサンドバッグ
はらへった はらへった
もう一週間も、ゴハンをもらってないのヨ~。
ぺこぺこのお腹から声出そうが、誰の耳にも入らない!横隔膜が喉にぶつかっちゃうワ!
不安だって 怖くたって
ああ 言わせられるんだ 「へーきだヨ!」
「勉強しろよ」母ちゃんが言う。
「俺の視界内に入るなクソガキ」父ちゃんがまだ小さくってこんなにもよわっちい僕を思いっ切り殴った。
アウトオブ眼中
きゃーっ。目の前に、まっかな花びらが散った!
これはなあに?これはなあに?
自分の姿が見えるじゃあないか!
そう、僕の魂逃げちゃった!
戻ってくると急に叩かれた!
何で父ちゃんは僕を大事にしてくれないんだろネ。
さみしいよ さみしいよ
日中、母ちゃんは透明なサーベルを僕のもうすでにボロボロの体に何度も突き刺しているよ。
刺すたびに、水でできたくどいほど甘い血がじわじわ溢れ出るの。
まーた、繰り返してる…
「産まなきゃよかった」「死んだらいいのに」「生きる価値なし」本当にそうだね。
僕はいらない人だってもうわかってるけど、どうしてみんな分かってることを言うのだろう。
あのね、仮に僕がここで死んだら君たちはどう思うかね。
だれも何も思わない。これは決まったこと。
わかってる わかってるーーーーよーーー
痛いのに、苦しいのに、無理して笑う私!
えーっと、「自分」って存在したっけなぁ??
わーすれちゃったぁ!しょうがないね!
だってだって、鋭い言葉がドロドロにひび割れてそこからぼたぼた何かを垂らしてる心に刺さっても
もう痛くないよ!僕は強くなったんだよ!
息ができなくて こんな肺も気道も使い物にならない。
けど、いらないのにここにある。
僕もいっしょ。いらないのに、ここにいるんだ。
邪魔者なのに、死ぬ勇気すらないんだよ。
ああ、ああ!世界で一番いらない人!
こんなに大事にされなくて寒い周りを、走り回って温めようとするよ!
そのたび自分に爪を入れる!
ぎゃっ、ぎゃーっ、たすけてーっ。
あの頃に戻ることはないんだね。
みんなに喜ばれて、笑ってもらえて、頭を触ってもらえたあの時は、もう過ぎたことなんだ。
今となっちゃただの思い出。ゴミ箱にほかったらおしまいよ。
さあ今、みんなに殴られて、罵声を浴びせられて、頭をカチ割ってもらう時ヨ!
痛い苦しい寂しい悲しい…大事にされたかった。
かわいがってもらいたかった。
ただ、この世で、みんなと楽しく生きたかっただけなのに…
たすけて たすけて たすけて たすけて たすけて
ぎゃっはっはっはっはっはっはっは!!!!
どぅえええっへっへっへへへへへ!
ぎゃはぎゃはぎゃはぎゃは
はぁ、はぁ…(心臓が泣き止んだみたいだ)
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